節税の教科書

【裏ワザ】不動産管理法人の株式売却による個人所得税の節税

今回は不動産管理法人の株式の売却による節税です。

近年ではサラリーマンの方でも不動産への投資を行われている方は多いと思います。その中には不動産を保有するための不動産管理法人を設立して不動産を取得されている方もいらっしゃると思います。

不動産投資をされている方であればどこかの段階で出口戦略としての不動産の売却を考えられているかたも多いかと思いますが、今回ご紹介するのはその不動産の売却の際に、不動産そのものではなく不動産を保有する法人の株式を売却することによる節税手法です。

ただし、最初に留意点です、不動産管理法人の株式売却は確かに節税にはなりますが、買い手にとってはリスクもある手法ですので、以下の内容をよく読まれて活用されることをお勧めします。

売り手のメリット

節税の話に戻ります。まずは売り手のメリットです。通常不動産を法人で売る場合、売却益が出るとその売却益に対して35%程度の法人税が課されます。その売却益を減少させるために役員報酬を出そうとすればその役員報酬に対しては最大55%の税率で個人に所得税等が課されます。また、役員退職慰労金を出して所得税を圧縮する方法もありますが、役員退職慰労金には損金算入限度額があるので、売却益のすべてを圧縮で来るかどうかはわかりません。
また、売却益をそのような手法で売却益を相殺しきれなかった場合に、法人を清算するときに当初の投資額を超える残余財産の分配がされるときはその残余財産には法人税以外にも最大55%の税率で所得税が課され結果として2重課税か起こることとなります。
このように不動産管理法人の不動産の売却には様々な局面で税金が課されます。

これに対して株式を売却した場合にはどうなるでしょう。
結論を申し上げます。個人が株式を売却した場合の所得税等の税率は20%です。つまり、売却額にもよりますが、一定以上の売却益が出る場合、法人が不動産を売却する場合よりずっと税金を安く抑えることが可能になります。

買い手のメリット

それでは買い手のメリットです。実はこれは売り手のメリットでもあります。
どういうことでしょうか。

通常不動産の売却には不動産取得税と登録免許税が課せられます。それぞれ税率は3%と2%です。ただし土地の場合は不動産取得税の税率は実質1.5%です。またこれらの税金は固定資産税評価額に対して課されます。

事例をあげます。
例えば1億円の固定資産税評価額の土地を売却する場合の税金はそれぞれ以下の通りです。

不動産取得税:100,000,000×1.5%=1,500,000
登録免許税:100,000,000×2%=2,000,000

なんと合計で3,500,000円の税金が課されます。

今度は不動産管理法人の株式の売却です。結論から言えば不動産管理法人の売却にはこれらの税金はかされません。なぜなら不動産の売却ではないからです。つまり不動産という現物でなく株式の売却をすることで、多額の税金の支払いをしなくてよくなるのです。通常これらの税金は買い手が払いますが、買い手にとっては不動産の取得価額が低く抑えられる一方で、もしかしたら売り手もそれを交渉材料にして不動産をより高い価格で売ることが可能となる可能性もあります。

不動産管理法人株式売却のデメリット

これまではメリットだけをお伝えしてきました。ただし不動産管理法人の株式売却にはデメリットもあります。
ここでは一番のデメリットを紹介します。
不動産管理法人はその売買が行われるまでは、当然ですが前の経営者(通常は株主)によって運営されています。当然ながら会社の印鑑もその経営者によって管理されていたことになります。会社を売買する際には、もちろん会社の決算書をチェックしますが、その決算書にすべての債務が計上されている保証はありません。前経営者が、もしかしたら、高金利の借入を法人の印鑑を使用して行っており、それを決算書に計上していないかもしれません(これを簿外債務といいます。)。法人を購入するということはそれらの債務も承継するということに他なりません。もちろん株式の売買契約書にそのような事態は起こった場合には売り手に保証をしてもらうような手当をすることも可能ですが、売り手の財産がなければそのような保証も意味がないものとなります。
従って不動産管理法人の株式の売却はよほどの信用力(がある売り手でなければなかなか怖くてできないのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。不動産管理法人の株式の売却は売り手にとっても買い手にとってもメリットはありますが、それ以上のリスクが潜んでいる場合がありますので、そのリスクを承知したうえでの実行が望まれます。

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