節税の教科書

【マル秘】パナマ文章流出から考える世間の見方

今回は一時期話題となったパナマ文書についてご紹介します。

パナマ文書とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な量の内部文書です。南ドイツ新聞が匿名の人物から入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合とともに分析して、タックスヘイブンを使用していた2016年5月に21万以上の法人と、その株主らの名前を公表しています。

報道によると、パナマ文書で株主などとして挙げられている延べ約37万の人や企業の住所地のうち、最も多いのは香港の約5万、次いでスイスの約4万、中国の2万と続いています。日本は439で全体では65番目となります。

ちなみにタックス・ヘイヴン(tax haven)とは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことであり、租税回避地や低課税地域とも呼ばれる国や地域になります。

また余談なのですが、アメリカの企業が多くないので、決してアメリカの企業がこのようなタックスヘイブンを利用していないのではなく、「モサック・フォンセカ」はどちらかというと欧州系のクライアントと多く仕事を行っていたためといわれています。
ちなみに日本の企業が少ないのは、日本の企業の保守性であったり、言語の問題が関係しているのではないかと言われています。

それでは、いったいパナマ文書の本質はどこにあるのでしょうか。

新聞報道等では、大手商社や大手通信会社等、日本の名だたる企業がこのようなタックスヘイブンを利用していたとされ、“課税逃れ”や“租税回避”という衝撃的な見出しが躍っていました。しかし、結論から申し上げると企業がこのようなタックスヘイブンに会社を設立しても今の日本の税制では課税逃れや節税を行うことは基本的にはできません。

なぜならば、日本にはタックスヘイブン対策税制というものが存在し、一定の無税国や低税率国に実態のない子会社を置く企業に対しては日本の税率を同じ税率で法人税を課す制度が存在するからです。従って、報道で名前が挙がった企業などは当然ながら税務コンプライアンス等はしっかりした企業ばかりだと思いますので、このようなタックスヘイブンを活用して課税逃れをしていた可能性は高くないと思われます。

また、欧米の企業では規制の厳しい国への投資を行う際の売却や撤退の容易さから、タックスヘイブンに中間的な法人を設置してその法人の売買を行うことで、円滑な事業の売却や撤退を行っているケースもあります。

このように、思うところに、タックスヘイブンの本質は課税逃れではなく、どちからというとタックスヘイブンの国々がもつ情報の匿名性だとかに問題の本質があるのではないかと思われます。

もちろん報道にもあるように、2017年6月までにパナマ文書に名前があった日本関連の個人や法人について、日本の国税当局が調査を行い、所得税など総額31億円の申告漏れがあったとも報じていますが、これも金額的な観点からすると、どちらかというと単純なミス等の割合も多いような気がします。

しかし、新聞報道等によって世間の見方としては、これらの個人や企業がタックスヘイブンを利用して課税逃れを行っているという見方が定着し、結果として富裕層への批判が広がることになりました。またその結果、先ほどご紹介したタックスヘイブン税制も改正されることが決定しています。

結果としてみるとパナマ文書に関しては、このような税制の改正や富裕層への課税強化に利用された側面も少なからずはあるのではないかと思われますが、みなさまはどのように感じられたでしょうか。

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RETAX編集部

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