節税の教科書

不動産取得税の概説(徴収,時期,新築)~建物登記をしないとどうなるの?

 

不動産取得税は「不動産を取得した時」にかかる税金(都道府県が課税するので都道府県税)です。取得とは土地や建物を買った場合、建物を新築した場合等のことを言います。

冒頭からお伝えすると建物を新築して登記をしなくても不動産取得税は課税されます。

この記事では不動産取得税の概説(徴収,時期,新築)~建物登記をしないとどうなるのかについて解説していきます。

不動産取得税の徴収の方法~建物登記をしなくても課税される

不動産を取得した人は、取得したことを税務署に「不動産取得税申告書」の形で申告することとなっていますが、この申告を自分からする人はあまりいないと言われています。

そこで、都道府県税事務所の側で法務局から送られてくる「土地登記(登録)済通知書」等を用いてチェックして、不動産取得の申告をするようにという案内状が送られてきます。この案内状に不動産取得税申告書が同封されているため、この時点で申告する人が多いようです。

不動産取得税は比較的額が大きくなりますから、必要があれば県税事務所は現地にも実査をしに行きます。その上で調査・評価を県税事務所が行って、納税通知書を納税者に送付して課税されるようになっています。

なお、最初に不動産取得税の申告を自分からする人はあまりいないと書きましたが、不動産取得税の軽減措置などを受けるためには一定の期間内に所定の手続きをしなければならないという制度もありますから、不動産を取得したら速やかに申告を行い、同時、もしくは早いうちに軽減措置の手続きをするようにした方が良いでしょう。

 

不動産の取得が法的に無効な場合はどうなるのか

不動産の取得が法的に無効な場合、というのは、例えば詐欺や強迫によって不動産を買ってしまった場合が当てはまります。

この場合、家屋や土地の「取得」という行為自体が無効ですので、所有権保存登記や移転登記をしていても、その登記をする原因が無効になりますから、所有権を取得したことにはなりません。この場合は所有権の登記を得ていても、不動産取得税は課せられません。

詐欺を受けてしてしまった不動産の取得という法律行為を取り消した場合、不動産取得税は課せられることはありません。すでに納付した分があれば還付手続きを取れば返ってきます。

不動産売買時/新築の時の課税時期は?

詳しくは別の記事で解説しますが、軽減税率等の特例適用の申告期限や、課税の時期を確定するため、「いつの時点で不動産が取得されたのか」ということが重要になります。

売買の場合は難しいことはありません。土地や家屋を買った場合には、「所有権移転の日」が取得の日となります。決して「所有権移転登記をした日」ではなく、売買契約上で所有権が移転された日であることに注意してください。

多少ややこしいのが住宅等の家屋を新築した場合です。一般的には「建築工事が完成して、請負業者から家屋の引き渡しを受けた日」が取得の日になります。

ただ、厳密に言えば以下の3つの場合があります。

建築主が自ら家屋を建設した場合または建築業者に請負契約で工事を発注し、家屋の所有権が原始的に建築主に帰属する場合

法律上はこのようにややこしく分かりづらい定め方をしていますが、要するに、建物を新築するにあたって自分で工事した場合や建築業者に工事のみ発注して、完成した時点で直接建物の所有権が自分のものになる場合です。
建物の「所有権移転登記」ではなく「所有権保存登記」をする時のことを言っています。

この時は、「最初に使用した日、または完成後6ヶ月を経過しても建物が使用されない場合には6ヶ月を経過した日」が取得の日とみなされます。

建築業者に請負工事を発注し、その契約等により家屋の所有権がまず請負業者に帰属し、その後引渡しにより建築主に所有権が移転する場合

これは分かりやすく言うと、「いったん建築業者が完成した建物の所有権を持ち、それから建築主に所有権を移転する場合」です。言い換えれば新築建物について建築業者から「所有権移転登記」を受ける場合です。
この場合は、引渡しの日が取得のあった日とされます。

ここで、例えば住宅を発注する個人の方も建築業者の方(ほとんどの建築業者の方はご存知でしょうが…)もお気を付けいただきたいのは、この条項では、

「6ヶ月を経過しても建築業者から建築主に建物の引渡しがなされない場合には、6ヶ月を経過した日に請負業者に課税し、その後引渡しがなされたときに建築主にも課税する」

とされていることです。早めに引渡しをしないと思わぬ課税をされますので、注意してください。

 

③上記②の例外

ただし、建売住宅や分譲マンション等のようなものに関しては、建築主である分譲業者が請負業者に発注し、建築完了後に建物の引渡しを受けて、これをエンドユーザーである実際に住む人に譲渡することが一般的です。

この場合、②の原則のとおりであれば、不動産取得税は一度分譲業者に課税された上で、販売を受けたエンドユーザーにもう一度課税されることになります。

ただ、②の条項には例外規定があって、分譲業者が「家屋を新築して譲渡することを業とする宅地建物業者である」場合、つまり会社の仕事としてたくさんの物件を販売する業者の場合は、請負業者から建物の引渡しを分譲業者が受けた時には課税されず、エンドユーザーに販売された時点でエンドユーザーに不動産取得税が課税されることになっています。

この規定が受けられるものとしては宅地建物業者の他、都市再生機構や住宅供給公社も含まれます。ただし、この規定も新築後一定期間を経過した場合は②の原則に戻って二重に課税されますから注意しましょう。

不動産取得税の概説(徴収,時期,新築)~建物登記をしないとどうなるの?まとめ

不動産取得税の概略をお話ししました。
不動産取得税については評価等の課税の前提事項は機械的に決められていますから、相続税などと違って不動産鑑定士の評価等による節税、ということは難しいものがありますし、実務上もほとんどそのような申告はされていません。

不動産取得税については「軽減税率の特例を受けられるケースかどうか」と「軽減税率の特例を受けるための申告時期」を間違えないようにすることが節税につながりますから、次の記事でお話しします。